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操作され開かれた門を潜り広い庭を通り、玄関の前で車が停車した。
「お帰りなさいませ、夾夜お坊ちゃま。」
玄関前で立っていた使用人が車の後ろのドアを開けて、カバンを受け取りながら言う。
それはもういつもの事。
「夾夜様、何かお飲み物などでもいかがですか?」
そしてその後でオートロック式のドアを持っている使用人がコウ聞くのもいつものことだった。
「いや、かまわない。」
夾夜は彼女を見もせずに簡潔に答えた。
「では私は買い物に行って参ります。」
夾夜の声を聞いて、家の中に入ったのを見ると彼女は言って一礼し出かけていった。
「光夜は帰って来ているか?」
靴のまま上がって行き、夾夜はカバンを持ったままついてきている使用人に尋ねた。
「イエ、まだでございます。」
「そうか…俺が早すぎたんだな。」
確かに夾夜はいつもより早く帰ってきたようだった。
一人フッと笑うと、疲れた表情で息をつく。
「夾夜お坊ちゃま、私も失礼したします。何か御用があればなんなりとお申しつけください。」
部屋のドアの前まで来ると、使用人は夾夜にカバンを渡し一礼してそっと去って行った。
これもまたいつものコトだった。
夾夜は分かった。というように軽く手を挙げて応え、部屋の中に入っていった。
「………ダルッ。」
一人きりになったトコロで夾夜は着替える事もせずにベッドの上に身体を沈めた。
(ぁ~ちょっとヤバ。そろそろダメかも?)
そう思うか思ったか…微妙なトコロで最近多忙で疲れていた夾夜の意識は薄れていった。
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