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「…久しぶりだな、光夜。」
光夜が桜が並ぶ校庭を歩いていると、後ろから少し低めの声。
「…?」
光夜は少し首をかしげて振り向いた。
そして
「…あぁ、悟之か。」
その人物を見てフワリと…嬉しそうに笑った。
光夜に話し掛けた人物は、光夜・夾夜の幼馴染、井緒悟之だった。
「全く、驚いたぞ?いきなり休学届なんざ出すからな。」
「ごめん。どうしても抜けられない用事だったんだ。」
追いついてきた悟之と足が並ぶと、光夜は彼の言葉に苦笑して一緒に歩き出す。
「…抜けられない用事で3ヶ月も休めるのがスゴイι」
「まぁ…、お家柄ってことで…。」
井緒家もわりかし有名な家柄だった。
しかし明月と並ぶ…まではいかない。
明月家は同じくらい有名だった鈴木…光夜たちの母の家名と縁を結んだ。
「それで、何を…って言ってくれそうにもないな。夾夜まで学校を休校していただろ?夾夜がらみで光夜が話すわけないか…」
この辺はさすが幼馴染というべきか?
光夜の性格を察してか悟之は何か言いかけて、すぐに自分に納得させるように苦笑して言った。
「うん、ゴメン…。」
「やっぱ…即答かよ。」
光夜の返事はマジで即答だった。
「うん、ゴメンね?言うわけにはいかないんだ。夾夜との約束だから。」
そう、光夜にはわけがあった。
夾夜との約束は全て守る という義務
明月の中で誰の言葉が光夜に一番有力かというと、現当主である父より夾夜の言葉で。
まぁ、それを抜きにしても夾夜に育てられたと言っても過言ではない光夜は夾夜は充分に信じるに値する人物なのだが…。
「…いや、それは承知済み。気にするな。」
申し訳無さそうに言う光夜に悟之は気さくに笑った。
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