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隣県の実家にたまに帰省すると、両親は僕を心配する言葉のあれこれを随所に差し込んでくる。
心配されているうちが華、と、内心安堵している。
だが同時に、将来設計というものを持たない僕の口からは、何を聞かれても、自分のことなのにまるで他人事のような、曖昧な返答しか出てこない。
父親からの叱咤激励に返す言葉を失ってゆき、かといって母親にも頼りづらく、少しずつ疎遠になっていっているということすら、他人事のように感じている。
まだ全てをあきらめるには若すぎるし、早すぎる、ということはわかっているけれど、かといって何か行動に移すわけでもない。
置き去りにされたという悲壮感を感じるのも間違っているような気がして、じきに感じなくなった。
野望も向上心もなく生きる日々は、波のない海のように穏やかで、静かなものだった。
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