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「会った!?」
朝、学校。
薫が教室ですっ頓狂な声を出すから、みんながこっちを振り返っとる。
かおちゃん、今、みんなの中でアンタの印象変わったで。
……いや、その方がええんやろうけど。
「……会うた」
「どこで!?」
「家の前」
うちがそう言うても、薫は信じられへんって顔しとる。
いや、うちかてなんか今でも信じられへんし。
「なにそれー…。もう、心配損や、私」
薫は疲れたように、ぐったり机に倒れ伏した。
聞けば、うちもあいつも電車に乗ってこないから、一人で焦ってたらしい。
うちはともかく、タカはまた会えるかどうかわからんし。
メールしてくれたんやけど、うちも急いでたからマナーモードにしたまま鞄に突っ込んでたから、気付かんかったんよ。
ごめん…。
「んで?あいつと話したん?」
あ、薫がちょっと不機嫌になっとる。
机に倒れたまま、上目遣いしてくる目線は、すっごく恨めしそうや。
「おん、話したよ」
「何を?」
「いろいろ」
「具体的に述べなさーい」
せやかて、本当にいろいろなんよ。
うちら、まるであんなんなかったみたいに話してたな。
まるで、三年前に戻ったみたいやった。
でもそれって、タカがうちの告白を、なんとも思っとらんってことなんやろ。
……それはそれで嫌やわ……。
「うーんと、とりあえず北山通っとるん?って聞いたなー……」
うちは、つい二時間ぐらい前を思い出しとった。
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