チャンス到来?

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「そんなでかない……」 思わず小声で否定。 そりゃ、驚いた時には出るかもしらんよ? でも、好きな人にそんなん言われるの、いややんか…。 「んで?テニスはやっとらんの?」 タカは人の気持ち知らんと、普通に聞いてくる。 「いや、やっとるよ?もう少しで引退やけど」 「そうか。……ええなあ」 本気でうらやましそうなタカの声に顔を見ると、ちょうど目があって苦笑された。 「タカ、もうバスケやっとらんの?」 あんなに好きやったのに? 驚いて聞くと、タカは寂しそうに、おん、と頷いた。 「1年の頃はやっとったんやけどな…」 「…なんか、あったん?」 恐る恐る聞くと、まぁなぁとやっぱり苦笑い。 「アレやんな…。俺とチームの方向がちゃうかったって言えばええのかもしらんな」 寂しそうな横顔に、心臓が切なさに痛んだ。 あんなに明るくてバスケが大好きで、人の中心でみんなを笑わすのが得意だったタカ。 いつの間に、こんな笑い方を覚えてしまったんやろ。 離れてた2年を、改めて長く、重く感じた。 「……その制服、北山学院やろ?やっぱり大変なん?」 顔を見れんままぽつっと呟くと、そうやなぁって返事が返ってきた。 「あんま楽しくはないな……」 そう言ったタカがすごく寂しそうで。 なら、なんで同じ高校来てくれなかったん?って言いそうになった自分を、必死に止めた。 ……原因かもしらんうちが言えたセリフやないやろ。 ああ、やだ。 こんなんうちちゃうわ。 「だってタカやもんなぁ?由緒ただしーいとか、マナーがーとか、そんな中でやってけへんやろ」 「おまっ!人が微妙に落ち込んどるんわからんのか!」 わざと言ってやると、やっぱりすぐにのってくる。 そんなとこは変わらんのな。 なんだか、ちょっと嬉しなった。 「だってほんまのことやろー?タカだけ、あの家に馴染んでへんやん」 「アホ!俺かて小さい頃から英才教育受けてんで?」 「その英才教育抜け出して、うちらんとこに遊びにきとったのは誰ですかー」 言ってやると、タカはむっつり黙り込んだ。 あ、こんなとこも変わっとらん。 ふて腐れたら、怒ってますーって顔して黙り込む。 ……ほんま、そこだけは幼稚園から変わらんのな。 かわええっ!
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