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「もー、怒らんといてや?」
ごめんな、って謝ると、タカは恨めしげにこっちを見た。
「相変わらずやな、おまえ」
「あら、そーですかー?」
わざとらしく聞き返したると、ふんっと横を向いた。
もー、子供っぽいとこはほんまに変わっとらんのね。
「ターカ。ごめんってば」
「信じるか、アホ」
すっかりふて腐れてもうた…。
「もー、相変わらずおっきい子供なんやから…。あ、ほらアメちゃんあげるから機嫌直し?」
鞄にいつも入ってるアメ袋出して、一個アメちゃんを取り出す。
「アメちゃんて……。おま、俺をいくつだと思うとんねん!」
「誕生日6月だからそろそろ18。で?いるの?いらんの?」
目の前に突き付けてやると、しばらくの沈黙のうち、いる、と手を伸ばした。
なんだかんだ言って、タカは甘いもん好きやからなー。
中学の頃なんて、毎日うちにアメちゃんたかっとったもん。
自分で買えー言うても、忘れるんやとかなんとか言って、一回も持ってきたことなかったな。
「んふふ…。相変わらず好きなんやな」
「悪いか」
「そんなこと言うてないでしょ」
せっかくさっきまで大人になったなとか、そんなトキメキ味わっとったのに、まったく変わっとらん面ばっかり見せられて、うちも中学の頃に戻ったみたいや。
まぁ、変わっとらんとこ見る度に嬉しなるんやけどな。
あ、そういえばまだあったんや、聞くこと。
「そういえばタカ、今電車通学なん?」
「おん」
「なんで?北山学院って、全寮制やなかったの?」
ああ、とタカはちょっと冷めたみたいな目付きをした。
「今年からな、希望者は自宅通学よくなってん。……あんなとこ四六時中おったら息詰まるわ」
家も近いっちゃ近いんやし、とタカは続けた。
「で、こんな時間に行っとるの?キツくない?」
「別になんともあらへんで」
軽く言ったタカに、ちょっとびっくりや。
だって、家出るの5時代やで!?
そういえばコイツ、昔から朝だけは強かったなー。
なんか、あんまり寝なくてええんやって。
毎日6時間以上は寝ないと目の下にクマが出るうちには羨ましい話やわ…。
今日も朝、格闘してきたし。
「じゃあ帰りは?何時になるん?」
「別に部活やっとらんからな…。6時とかには戻って来るで」
「あ、そうなんや」
頭の中で計算する。
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