5人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
「なんかいい感じやん」
話を聞いた薫が、機嫌悪いのも忘れたみたいに笑った。
あ、ちなみに薫には、薫のこと話したとは言うとらん。
あんなこと、忘れられんでも思い出さん方がええねんから。
「えぇー、そう?」
「そう!絶対そうやって!」
思わず半目になったうちに、薫は大きく頷いた。
やって、あの話のどこにそんな要素あったん?
「よう考え?普通に考えて、あんな別れ方して、そんな風に話せるなんてすごいことやで?」
「いやまぁ、確かにそうかもわからんけど……」
中三の冬の終わりを思い出す。
後悔はしない主義のうちが、後悔してる数少ない出来事の一つ。
タカに、フラれたこと。
「あいつのことやから、めっちゃ気にしてんのかと思っとったけど…」
思ったよりも単純やったな、なんて薫は笑った。
「いいきっかけやん。これから頑張りや。……んで、アドレスは?」
「……あ。忘れとった」
この後、また薫に怒られた。
……うっかりしただけやのに……。
最初のコメントを投稿しよう!