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「ひーなせんぱーいっ!」
「わっ!な、なにすんの!」
部活終わり。
部室で日誌を書いてたら、後輩に後ろから抱き付かれた。
いきなりやから、めっちゃびっくりしたわ!
字が曲がらんかっただけマシかな…。
「えへへ、やりたかったんですー」
後輩はそう言いながらうちの顔をのぞきこんできた。
「もー…。悠は相変わらず甘えたやね」
うちがそう言うと、後輩はそんなことないですっ!と全力で否定してきた。
そないなとこが子供っぽくて可愛いんやけどね。
「日誌終わらないんですか?」
「おん。先帰っててええよ?」
「えー。どうせなんやから、陽菜先輩と帰りたいですー」
ええでしょ?と首を傾げたのは、木下悠。
家が近所で、母親同士が仲良いこともあって、悠が小学校に上がった時に一緒に学校に行くことになったんがきっかけで、その後ずーっとうちのことを慕ってくれる、可愛い子。
うちの妹みたいな存在やね。
「ええけど、まだ時間かかるよ?」
「待ってますよ!」
当然!っていう顔をして、悠は目の前に座った。
……相変わらず、可愛い顔しとる子やね。
街歩いてて振り返られるような薫みたいなわかりやすい美人やないけど、なんていうかな、愛嬌がある顔っていうか、見てて安心する顔っていうん?
にこって笑われたら、こっちまで笑顔になるみたいな、そんな子。
無意識のうちにじーっと顔を覗き込んでたうちに気付いたんか、悠が首を傾げた。
「陽菜先輩?」
「っあ、な、何でもない!ごめんなー」
もうちょっとやから、って笑って誤魔化した。
それに、悠もにっこり笑う。
あーあ、うちもこんだけ可愛かったら、今ごろタカの彼女やったんかなぁ……。
思わず頭をよぎった言葉に、首を振る。
……なんやねん、うち。
こんなんうちらしくないで!
タカに会ったからなんかも知らんけど、また頑張ればええやん!
うっしゃ、と小声で気合いを入れて、また日誌に目を落とした。
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