偶然って怖いもんですね

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「それでそれで?アドレスは?」 とりあえず、数日前にタカに会ったことを悠に説明したら、薫と同じ質問が返ってきた。 「うっ……」 「その反応は聞いてへんのやね」 悠が、あきれたと言わんばかりにため息をつく。 「陽菜先輩って、やっぱり恋愛は奥手やよねぇ」 他のとこはすごいしっかりしてるのに…と、しみじみと言われた。 仕方ないやん。 初恋がまだ続いてるんやし……。 告白、されたのなんて、この前の河野っちのが初めてやったし…。 絶対数が人より少ないの自覚してるけど、別にええやんか。 「陽菜はねー…、不器用すぎるっていうか…。変なとこ抜けてるっていうか…」 反対側の薫までため息ついた。 薫だって、今までずっと彼氏おらんやん。 いや、確かにめっちゃいっぱい告白されとるから、そんな場面慣れとるのかもしれんけど…。 いつもうち、付き合わされるけど(もちろん影に隠れてやけど)、普段のクラスでの薫しか知らん人ならめっちゃびっくりするほど、きっぱりと断るもんな。 ううう、今、ものすっごい居づらい……。 「で、それ以来同じ電車乗ってないんですか?」 悠が首を傾げる。 可愛い、めっちゃ可愛いんやけど、今のうちには心臓痛いわ。 「この子、アホなんよ。あれ以来、同じ時間に起きれてへんの」 薫がまたため息をつく。 かおちゃんかおちゃん、そんなにため息ついたら幸せなくなってまうでー、……なんて言えん空気やな。 「陽菜せんぱーい……」 悠までがっくりと首を落とす。 やってやってー!! あの日だって、ほんまは遅れてたんよ。 そこにうまくタカが遅れてきたから、たまたまはちあわせただけで……。 ……それに、な、正直、顔合わせづらいのもある。 たまたま朝早いってタカには言ってもうたから、何度も顔合わせたら……タカに会うためだって、バレてしまいそうやんか。 それに……この間は驚いてたからたまたまめっちゃ話してくれただけで、次の時は気まずいとか……。 あーもう! 最近のうち、こんなんばっかりやな! でも、タカには嫌われとうない。 それが一番なんよ。 正直、怖いねん。 あの日のことを思い出すと、みっともなく身体が震えてしまうの。 うち、ほんまにタカのこと好きなんやな…。
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