恋とはうまくいかないものなのです

2/3
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
うちの名前は、青柳陽菜。 あ、ちなみに「あおやぎ」やで。 たまに「あおやなぎー」なんて呼ぶやつもおるけど、ゴロ悪くない? まぁ、もしかしたらどこかに「あおやなぎ」さんがおるのかも知らんけど、うちはまだ会うたことないから、知らんわ。 ……全国のあおやなぎさん、ゆるしてな。 まぁ、そんなこんなで。 今、うちは大勝負の真っ最中。 つか、つきそい中? 「俺、青柳さんのこと……ッ!」 目の前には、そう言って真っ赤になっちゃった、男の子。 そう、いわゆる告白っていうものをされとる最中なんです。 相手は、確か同じ学年の……河野くん、だったかな。 でもね、ありがたいんやけど…。 「ごめん…。うち、好きな人がおんねん」 うちがそう言うと、河野くん(確か)は、傷ついた顔をした。 ……ごめんな。 うちかて、できるもんなら応えてあげたいけど、そんなんちゃうもんな。 片思いの辛い気持ちはめっちゃわかんねん。 だから、応えてくれなかったことにたいする絶望も、今ものすごいショックな気持ちもわかんねん。 かなりの、罪悪感。 あいつも、こんな思いやったんかな。 「ごめんなさい…。でも、できるもんなら諦めて?うちがこんなん言うのおかしいかもしれんけど……報われない片思いは、してても辛いだけやから……」 それに河野くん、結構カッコいい部類に入るで。 うちなんかやなくて、もっと大人しい、清楚~な感じの美人が似合いそうやもん。 そう言うと河野くんは、泣きそうな顔でおおきに、って言ってくれた。 「ほんまはな……わかっとったん」 顔を上げた河野くんが、そういきなり言うから驚いた。 「青柳さん、あの人のこと好きなんやろ?」 「えっ、だ、誰のこと?」 今うち、絶対変な動きした。 つか、それくらいびっくりした。 なんで河野くんがあいつのこと知っとるん!? 「やっぱ覚えてないんや…。俺ら、中学の時の塾が一緒やねん」 「え、ほんま!?」 そういや高校で初めて見掛けた時、どこかで会ったことあるような気がしたな。 「青柳さん、今でもあの人とお揃いのシャーペン使っとるやろ」 そんなとこまで知っとるんー!? あかん、めっちゃ恥ずかしいわ……。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!