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うちの名前は、青柳陽菜。
あ、ちなみに「あおやぎ」やで。
たまに「あおやなぎー」なんて呼ぶやつもおるけど、ゴロ悪くない?
まぁ、もしかしたらどこかに「あおやなぎ」さんがおるのかも知らんけど、うちはまだ会うたことないから、知らんわ。
……全国のあおやなぎさん、ゆるしてな。
まぁ、そんなこんなで。
今、うちは大勝負の真っ最中。
つか、つきそい中?
「俺、青柳さんのこと……ッ!」
目の前には、そう言って真っ赤になっちゃった、男の子。
そう、いわゆる告白っていうものをされとる最中なんです。
相手は、確か同じ学年の……河野くん、だったかな。
でもね、ありがたいんやけど…。
「ごめん…。うち、好きな人がおんねん」
うちがそう言うと、河野くん(確か)は、傷ついた顔をした。
……ごめんな。
うちかて、できるもんなら応えてあげたいけど、そんなんちゃうもんな。
片思いの辛い気持ちはめっちゃわかんねん。
だから、応えてくれなかったことにたいする絶望も、今ものすごいショックな気持ちもわかんねん。
かなりの、罪悪感。
あいつも、こんな思いやったんかな。
「ごめんなさい…。でも、できるもんなら諦めて?うちがこんなん言うのおかしいかもしれんけど……報われない片思いは、してても辛いだけやから……」
それに河野くん、結構カッコいい部類に入るで。
うちなんかやなくて、もっと大人しい、清楚~な感じの美人が似合いそうやもん。
そう言うと河野くんは、泣きそうな顔でおおきに、って言ってくれた。
「ほんまはな……わかっとったん」
顔を上げた河野くんが、そういきなり言うから驚いた。
「青柳さん、あの人のこと好きなんやろ?」
「えっ、だ、誰のこと?」
今うち、絶対変な動きした。
つか、それくらいびっくりした。
なんで河野くんがあいつのこと知っとるん!?
「やっぱ覚えてないんや…。俺ら、中学の時の塾が一緒やねん」
「え、ほんま!?」
そういや高校で初めて見掛けた時、どこかで会ったことあるような気がしたな。
「青柳さん、今でもあの人とお揃いのシャーペン使っとるやろ」
そんなとこまで知っとるんー!?
あかん、めっちゃ恥ずかしいわ……。
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