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「河野っちー!これどうなっとるんー!?」
「あ、今行くわー!」
あれから3ヶ月。
4月の頃にはちょっとギクシャクしてた河野っちとの仲も、今はめちゃくちゃ良好です。
一緒に学級委員なったんも理由の一つやと思うけど。
何より河野っち、めっちゃいい人やねん。
人を笑わすのも好きで、まぁたまにサムいんやけど、それもまたその間に笑ってしまう感じで、自他共に認めるツッコミのうちには、めっちゃ……なんだろ、やりがいみたいなののあるやつだったりする。
「どないしてん、青ちゃん」
「予算のことなんやけどなー」
「あぁ!まだ全部は集まってきとらんでしょ?」
そして今は、6月終わりの学祭に向けて、そろそろ準備が本格的になる時期。
学級委員って言えば聞こえはいいけど、要はこういうイベントごとに駆り出される人員やからなー。
河野っちとうちは、今、結構忙しくなってきとる。
「んじゃ、そうする?」
「それが一番やな。そうしとくわー」
「あ、頼んでええの?」
「ええよー。やっとく!」
「おおきにー!」
予算のめっちゃ難しいやつは、河野っちに丸投げしてもうた。
うち、めっちゃ文系人間やねん。
助かるわー。
「……陽菜」
やったーと一人で喜んでたら、そこに声をかけてきたのは、同じクラスで小学校からの付き合いの、親友の薫。
この子、めっちゃ人見知りで、2ヶ月たってやっとクラスに馴染んできたかなってとこ。
やって、クラスで笑えるようになったん最近やもんな?
それもよう頑張ったな、ってうちには思える。
「薫?どないしてん?」
うちが机の隣に立っとる薫を見上げると、こっち来て、と手を引っ張られた。
それに合わせて立つと、小さい薫は必然的に上目遣いになる。
うわぁ、今日も絶好調に可愛いなぁ。
背も大きめのうちと違ってちっこいし、細いし、色白いし、何より顔が元から美人や。
大きめの綺麗な瞳が印象的で、顔のパーツがうまいこと整ってる感じ。
そしてやっぱりちっこい手は、ちょっとぶかぶかなセーターから指先が見える程度にちょこんと出ていて、女のうちから見てもたまんない。
もー、金森薫ちゃんは、今日も最強に可愛いですっ!
「どないしたん、薫?」
「いいからこっち来て!」
珍しく積極的にぐいぐい引っ張られて、廊下の隅の階段に連れてかれた。
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