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「えっ、話がついていけないんだけど?」
「お前は俺の指示に素直に従っておけばいいんだ。部長だからな。そうだ、熊本の地震のこと、もっと教えてくれよ」
「おっ……おお……」
私はこんな感じの話と私の親友である漫画部の助っ人によるポスターのおかげで勧誘はスムーズに行った。そう、ここにSMILE部は動き出したのだ。
そして放課後……。
場所は音楽室。
「皆さん、SMILE部に来て頂きありがとうございます」
「あっ、これ。スマイル部って読むんだ。スミレって読んじゃった。英語だから」
私はこの時、軽音部の部長が言ったその言葉に感動を得た。そうか、そう来たか。
「これ、中学生で習う英語という以前にお店でも使われるよ。これだから、軽音部は」
「何よ。誰だって間違いあるでしょ?吹奏楽部の部長さん……って会長さん?」
私はいつの間にか声に出して笑っていたようだ。
「ハハッ……そうか。スミレ部か。よし、これからスミレ部にしよう」
「えっ……えー!!」
私以外のその場にいた全員から発せられるその声が音楽室を鳴り響かせる。
「そういうわけでカタカナでお願いしますよ?」
「了解です」
私が右手を肩に乗せて頼んだのは書道部の部長、有河歩である。彼女が作品を出せば字を書く者達は頭が下がると言われるほどの人物である。
その彼女は机の上で新聞紙を広げて書く準備をしてくれてたのである。
「では、参ります」
その彼女が炭を適度に筆に染み込ませて力強く紙に書いていく。誰もが間違えないと思っていた。しかし……。
「すみませんでした、会長さん!!その……」
「ふふ。弘法にも筆の誤りね」
そこには『ズミレ部』と書かれていた。
「本当にすみません。今からでも書き直します」
「いいのよ、これで」
「でも……」
「無いよりは有る方がましよ。みんなもそう思っているわよ」
彼女がみんなの顔を見ている。彼女に目線が合った部長たちは一人ずつ頷く。
「ありがとう、会長さん。ありがとう、他の部長さん」
「気にするな」
そう言ったのは先程揉めてたサッカー部部長だった。
「そういうことよ。さて、みんな。名前が変わっても私たちはやることは変わらない。ここにズミレ部は今、生まれた!!さぁ、成功させるわよ!!」
「おぉ!!」
その声が周りから響く。そう、これが私たちの活動の始まりだったんだ。『ズミレ部』という部活の……。
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