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ズミレ部、最初で最後の活動開始!!
あれから私は会長として部長たちにこれからの段取りを説明した。部長たちは部活全体を元に協力を得た。このまま順調に事が運ばれると私は誰よりも信じていた。しかし……。
「なぜですか、校長!!私たちは熊本県の皆さんに元気付けるために活動するんですよ?」
「だから言ってるじゃないか?あなた方の部活名のようにズレがあるんだって。どうせ、名前なんて根本的にずれてるんじゃないかな?そもそも、顧問なんてなしで活動……」
「すみません、失礼します」
その時、私の担任が校長室に入ってきた。そして私の頭を軽くなでる。
「校長先生の話は一理あると思います。ですが、彼女らに賭けてみてもいいではないでしょうか?学校とは生徒達が成長する場所ですし、それを見守るのが我々の役目ではないですか?」
「……そうだな。だが、問題を起こすことだけは控えて欲しい」
「大丈夫ですよ。私が彼女らの顧問になりますから」
「君がそう言うなら安心だ」
校長とのこのやり取りはまだ序の口だったかもしれない。その後、私たちは熊本県知事に電話でひとまず説明した。しかし反応は……。
「お気持ちはありがたく思っております。ですが、それは偽善者とも受けられてしまう方が必ず出てしまうと思います」
私の頭の中に『偽善者』という言葉が回転している。
(私がやってることは偽善者なのか?)
そう、心で唱えた時に一筋の涙がこぼれ落ちた。
「まぁ、何はともあれ一度私たちの場所に来てみてくださいな。まだ、地震が少々続いております。気を付けていらしてください」
「あの……会える予定は……」
「あの……もしかして泣いてますか?」
私は涙を袖で拭いた。
「泣いてません」
「ふふ。君はいい子だ。君が集めた子もいい子だろう。私は偽善者だとは思わない。だから会いたいと思ったらその日の一時間前に電話して下さい。全力で協力する方向で私は考えます」
「はい!!ありがとうございます。それでは」
「待ってるからね」
私は電話を切った。
「お疲れだな。会長」と担任は肩に手を置き言ってくれる。
「茶化さないで下さい」と私は微笑んで言う。
「その笑顔こそズミレ部だ。さて、部室に行ってこのことを話して来なさい」
「はい、先生」
私は職員室を出た。そして音楽室に行き、集まってくれた部長たちに話した。
将棋の歩兵の駒のように一歩一歩みんなで進んでいくんだ。
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