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「汚れてるじゃない。そんなことしたら知事さんにご迷惑が……」
「構わないよ。君たち、その汚れを私に見せたかったんだよね。ボランティア活動した証拠を」
「あらま。お見通しでしたか。でも、ここにいる部長だけではなく、そこにいるうざったいサッカー部の部員たちや野球部の部員も力仕事をしました。喜びを感じさせるにはその場の辛さを感じることが大切でしょ?」
「うざったいは余計だつーの」とサッカー部部長が呟く。
「あんたたち……」と私も呟く。
目の前から拍手が聴こえた。
「参ったよ。完敗だ。君たちの計画に全力で力を貸すよ。日程は六月二日。この日だけの祭りにしようじゃないか?」
「おやおや、これを見てください。知事さん」
萩風先生は黒い手帳からスケジュール欄を見せて六月二日の欄を指で示す。
「これは神様もお許しが出てるかもね」
「はい。これは何かの縁かもしれません」
そう、萩風先生はこの日に『もし知事が許すなら→この日にズミレ部を開催予定』と書かれていた。
こうして私たちは計画を立てボランティア活動をして、ついにその日を迎えるのだった。
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