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「まひろ、ちょっと目を閉じて」
…………えっまっまさか。
そんな唐突に来るなんて!!
普通は雰囲気とかその場の流れなんかを肌で感じるものなんだけど。
はっ!!
さっきお好み焼き食べたけど、青のりとか大丈夫?
いやいやいやちゃんと鏡見てチェックしたじゃない!
いつでも受け入れられるように……って!!
やだなんでいつも以上にドキドキしてるの。
急にこられるとこうなっちゃうの?
鏡チェックも大事だけども、心の準備も万端にしとかないとね……。
なんてことを考えてるなんて悟られないように、勿体ぶりながらゆっくりと目を閉じた。
いつもだったら待ちきれないとでもいうように、直ぐに奪われるのに。
私の唇は寂しいまま放置されていた。
その代わりに、私の左手が取られて。
薬指にひんやりとした感触と、スルスルっと何かが滑るような感じ。
「あ、あの……。翔真?」
私ったら勘違いしちゃったのかしら。
ねえ、翔真…………。
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