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話を聞いていると、この人の声の心地よさに酔いそうになる。 そして、ふと気になって顔を見上げると、佐近さんの睫毛が気になった。 ・・・長っ! メガネ越しで気づかなかったけど、ここまで近いとよくわかる。 ぼけーっと見てたら、佐近さんと目があった。 「何?」 不思議そうな顔をして、俺の顔を見る。 「あ、すんません。睫毛長いなって。」 素直に言うと、ポカーンとした顔をしたかと思ったら、すぐにムッとした顔をされた。 「お前、勉強するつもりあんの?」 「あ、すんません。」 慌ててテキストに目を落とす。 うーん、と唸ってる間、佐近さんが、俺のことをじっと見てたなんてことに気づきもしなかった。
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