終章

7/7
884人が本棚に入れています
本棚に追加
/227ページ
「・・・とりあえず、お腹すきませんか?」 「ああ、そういや、昼飯食べるの忘れてた。」 「じゃあ、駅からでましょうか。佐近さん、何が食べたいですか?」 隣を歩きながら見上げると、急に立ち止まった佐近さん。 「ねぇ、綾くん」 優しく見下ろす佐近さん。 「俺の下の名前、覚えてる?」 「あ・・・えと。」 「将士(マサシ)」 俺に言い聞かせるように話す唇から目が離せない。 「将士・・・さん」 「これからは、下の名前て呼べよ。」 将士さんの瞳を見つめただけなのに、胸がきゅうんと痛くなった。 ああ。 俺は。 貴方に会うために生まれてきたんだ。 素直に、この人と一緒にいたいと思った。 「はい。将士さん。」 俺たちは、オレンジに輝きだした空の下を、歩き出した。 -Fin-
/227ページ

最初のコメントを投稿しよう!