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「姫っ、わしと共に、生きる気はないか」
必死と私の瞳を見つめる左近。
「も、もう間に合わない。」
私にはもう諦めしか残っていない。
「俺が、守るからっ。必ず、俺が守るからっ。」
そういう左近の言葉が、私の弱った足に力をくれた。
しかし。
立ち上がった時には、すでに城に火がかけらていた。
「すまない・・・左近・・・私が・・・私が・・・」
再び崩れ落ちた私のそばで、殿と同じように優しく微笑む左近がいた。
「よいのです。よいのですよ。俺は。あなたの側にいられるだけで幸せでしたから。」
火に包まれながら、私は左近に抱きしめられていた。
「左近・・・」
「次に生まれ変わることがあるなら、俺が、必ず見つけるから。」
「・・・左近」
ゆっくりと唇を重ねて、私たちは火の中に燃え落ちた・・・。
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