第3楽章 標的─ターゲット─

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「レイナス・・・・・・」 璃王は、先程の男性とのやり取りを思い出して、目を閉じる。 足首には、レイナスと名乗った男性が巻いてくれたハンカチがあって、それに大事そうに触れる。 ──懐かしくて、不思議な人だ。 璃王は、彼にそんな印象を抱く。 ──何だろうな? この感覚・・・・・・。 蒼い髪が風に浚われ、結われていた髪を解く。 言い表し難い感覚に璃王は戸惑いながら、夜空を見上げた。 漆黒の天穹には、下弦の月と星が散りばめられていて、とても綺麗だと思う。 「璃王!」 暫くそこでじっとしていれば、遠くから自分を呼ぶ声が聞こえた。 その声の方を見れば、いつの間にか変装を解いてた弥王が走り寄ってくるのが見える。 その後ろには、グレアの姿も見えた。 近付く二人を璃王は呼ぶ。 「弥王! ファブレット公爵!」 「無事だったか、神谷」 グレアの言葉に璃王は頷く。 何処も怪我をしている様には見えなかったので、グレアは安堵する。 「まぁ、精神的にも全体的な身体的にも無事みたいだが・・・・・・あぁ、間違えた。 足が大惨事になった様だな、璃王?」 弥王は何気にまだ、グランツの事を引き摺っているらしい。 弥王の言葉にグレアは苦笑する。 グレアが苦笑した理由は解らなかったが、璃王は取り敢えずそれはスルーして、頷いた。 「あぁ、まぁな。 靴擦れに少し足を捻っただけだ。 何ともない」 「立てるか?」 璃王の説明を聞いたグレアが、璃王に手を差し出して、肩を貸そうとする。 だがそれは、璃王が手を払ったことで拒否された。
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