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呪幻術を使うには、六大元素の中で自分に合った精霊と契約を結ぶ必要がある。
璃王の適応属性は、地と闇。
璃王は地の精霊と契約を結んではいるが、闇の精霊とは契約をしていなかった。
璃王が闇の精霊と契約しなかったのは、契約を結ばなくてもある程度の闇の呪幻術が使える事と、闇の精霊と契約を結ぶのはリスクがある為、自分の命を賭しても契約するなんて酔狂な真似をしたくなかったのだ。
シェイドと契約するなんて、まさかセラがそんなに酔狂だったとはな・・・・・・と思い掛けて、璃王は首を振る。
そうだ、奴は幼い頃から酔狂な性格をしていたな。
「それでも行くのか? まぁ、奴の事だから、リオンなら歓迎するだろうが・・・・・・会わない内にお前は随分と変わった。
予想とは反対に、その・・・・・・男らしくなったから、解るかどうか・・・・・・。
私は匂いで解ったが、セラはシェイドと契約しても尚無事でいるとは言え、一応人間だからな。
五感は勿論、第六感も人並みだ。 お前が解るとは・・・・・・」
「大丈夫だろ」
ラルの話を遮って、璃王は言う。
「奴の事だ。 意識は常に繋いでるだろう。
意識を繋いでいると言うことは、オレが何処にいて、何をしているのかがだだ漏れって事だ。
まさか、襲ってくるような事はないだろう。
万一そんな事があったとして、やり返せば良い事だ。 うん、大丈夫」
ケロッとした調子で璃王が言うものだから、ラルは納得する。
確かに、意識を璃王と共有していると言う事は、璃王の見えているものがセラにも見えていると言う事だ。
それなら、外見で解らなくても誰なのかは理解できる。
「そっか、それでも行くのか。 なら、止めない。
気を付けて行くんだよ、リオン。
アップルパイを焼いて待ってるから」
「楽しみにしている」
淡く微笑んだラルに、璃王は微笑み返した。
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