13人が本棚に入れています
本棚に追加
好奇心と臆病の間で、少女は考える。
この人は、信じても良い?
人をもう一度、信じる事ができる?
グルグルと考えていると、ついこの間までの事を思い出す。
恐怖に包まれた家庭、信じることのできない養父母、事故を起こしたのに、何故か生きている自分。
ずっと一緒に居た姉妹は、養父母と共に死んでいた。
自分に、居場所はもう、ない。
そんな事を考えて、少女は弥王を見る。
弥王は、迷っている少女に手を差し出した。
「もし、君がここに居るなら、君はオレが守ってあげる。
何があっても、ね」
優しい言葉を掛けられたのは、いつ振りだろう。
自分を真っ直ぐ見て、微笑む彼。
少女の手は自然的に、弥王に伸びていた。
何故だか解らない。 だけど──。
「あ・・・・・・アスカ・・・・・・。
えと、神月明日歌・・・・・・です」
「神南弥王だ。
よろしくな、明日歌」
少女、神月明日歌は、差し出された弥王の手を握って、名乗る。
何故だか解らないけど、「この人に付いて行ってみたい」、明日歌は、そう思っていた。
最初のコメントを投稿しよう!