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「Ciao(チャオ)!
弥王、璃王、グレア、久し振り~! 元気ー?」
執務室の扉を開けたら、女王陛下が居ました、まる。
・・・・・・って、そうじゃなくて! と、弥王は、心の中で叫ぶ。
執務室を出て行こうと扉を開けた弥王の目の前には、自分の目線より低い銀髪に銀灰色の左目、右目に眼帯をしている少女が立っていた。
一拍遅れて、弥王は叫び声に似た声を上げる。
「じ・・・・・・っ、女王陛下ぁぁぁぁぁぁあああ!?」
弥王の目の前に居る少女は、グレイ・ゼル・ファブレット。
この大英帝国を治めていた25代目国王、エリザ・ファブレットの愛娘である彼女は、病でその座を降りた母の後を継ぎ、若干15と言う異例の若さで大英帝国を治める、歴とした26代目国王だ。
王家の七人兄妹の末っ子であるにも関わらず国王の座に就いている理由は、単に後継者争いにてその座を勝ち取ったからではあるが、それだけではなく、彼女の持つカリスマ性と国民からの絶対的な信頼があるからこそ、その地位に就けているのである。
その様な手腕を持っているのは、生まれながらの素質もあるがそれ以降の弛まぬ努力の賜物で、それも国民から支持を得ている理由の一つ。
そんな彼女を守るのが、彼女の兄である、グレア・ファブレットの──否、裏警察(シークレット・ヤード)の役目・・・・・・なのだが。
「で・・・・・・? 今日は一体、何処を壊して来たんだ? じゃじゃ馬女王。
窓か? 屋根か?」
デスクに座って報告書を纏めていたグレアは、グレイの姿を認めると、咎める口調で問い掛ける。
その額には、青筋がピキピキと浮かんでいた。
グレイは最近のグレアの悩みの種の一つである。
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