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「ドッペルゲンガー!?」
「そっちの解釈か! 普通、兄妹とか双子だろう!?」
オカルトなどの怖い話が大の苦手なグレイは顔を真っ青にして、有らんばかりの声で絶叫する。
そんな彼女に、グレアはすかさずツッコミを入れた。
普通は、弥王と明日歌を見て、「ドッペルゲンガー」と解釈する人間は居ないのだが、グレイの中で一番最初に出てきた単語が「ドッペルゲンガー」だったのだ。
ガクガクと震えるグレイに、弥王は苦笑して紹介する。
「やだなぁ、女王陛下。 この子はドッペルゲンガーなんかじゃないですよ。
紹介が遅れましたが、彼女は神月明日歌。
似てはいるけど、性別も年齢も違いますよ」
「そっか、そうだよね。
驚かせてごめんね。 ボクは、グレイ・ゼル・ファブレット。
知ってると思うけど、この国の女王を務めさせてもらってるよ」
明日歌に微笑みながら、グレイは別の事を考えていた。
弥王に似た容姿、その蒼い目、年齢。
この子は、もしかして・・・・・・?
後で、彼奴に調べさせよう。
グレイは、明日歌の素性を知り合いに調べさせる事にした。
「ちなみにさぁ、訓練させてるんでしょ?
何させてんの?」
「情報処理と戦闘訓練・・・・・・それと、歌を少々」
グレイの質問に答える、弥王。
弥王の回答にグレイは目を鋭くして、聞き返す。
「歌・・・・・・?」
「えぇ。 もしかしたら彼女にも、オレと同じ様な力が《流れている》かもしれない・・・・・・いや、《流れている様》なので」
弥王は、グレイの疑問に答える。
弥王の持っている様な声質を明日歌が持っているとしたら、歌の訓練は必須になる。
と、言うのも、その声質は本人が気付かない内に放出されている可能性が高く、気が付いたらただ歌っていただけで死体が出来上がってました、なんてザラにあるのだ。
それを防ぐ為の訓練だ。
「確証は?」
「どっかの女誑しにも訊かれましたよ、それ。
《同じ様な力が流れている様》なので、確証はありません。 ただ──オレが無意識に夢に入り込めるという事は、そういう事ですよ」
グレイの問い詰めるような問いに、弥王は、兄妹で同じ事訊いてるよ、この人達・・・・・・と、少しうんざりする。
と、言うのも、グレアには散々、何度も確認されたのだ。
その為、たとえそれがグレイであっても、聞き返されるとうんざりしてしまう。
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