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「あぁ、いつもの事だ。 で・・・・・・」
ショッキングな場面を見た明日歌に冷静に説明する弥王の声に被って、今度はドタバタと騎士団が執務室に足音荒く向かってくる音が聞こえた。
「また、やられたぁぁぁぁぁぁぁああ!!」
世界の終わりを告げられたかの様に絶叫するグレアの後ろで、弥王はその背中を指しながら言う。
「あれも、いつもの事だ」
「え・・・・・・あのファブレット公爵・・・・・・ですよね、この人?」
弥王の言葉に、明日歌は戸惑いを隠せない。
何せ、「グレア・ファブレット」と言えば、グレイの兄で、公爵と言う爵位も持っていて、容姿端麗、博識多才・・・・・・と、天才の名を欲しいままにしている人物だ。
そんな彼と、目の前で絶望している彼との印象がまるで違いすぎて、同一人物だと思えない。
明日歌の中でイメージが大きく崩れた瞬間だった。
明日歌の問いに、弥王は頷く。
「あぁ、あのロリコン・シスコン・女誑しで有名な・・・・・・」
「グレア・ファブレット!
陛下の所在を吐いてもらおうか!」
弥王の言葉は、執務室に押し掛けたグレイの私騎士団団員の言葉に掻き消された。
あんの野郎、また仕事投げ出して騎士団に黙って出てきてたのかよ!
グレアは、騎士団にグレイが先程出て行ったことを説明した。
グレイが私用で来ていたのは解っていたが、まさか、誰に何も言わないで出てきていたなんて思わなかったのだ。
この日、グレアは物凄い胃痛を覚えたとか、そうでないとか・・・・・・。
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