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ジャックに高く掲げられた、おもちゃの兵隊を取り返そうと、エドは、もがくように腕を伸ばす。
「兄ちゃんだって、いっぱい買ってもらっただろ!それは僕のだよ!僕の兵隊だよ!」
「オレなんか、そんなに買ってもらってないぞ!悔しかったら、力づくで取ってみろよ!!」
一向に返す気配のないジャックの態度に、エドは悲鳴のような声で叫んだ。
「兄ちゃんなんか、いなくなっちゃえばいいんだ!!」
エドの甲高い金切り声が、静かな礼拝堂に響き渡る。
その言葉に、若い神父の顔から、苦笑が消えた。
「……エド!!」
神父の突然の声に、エドの体がびくりと波打つ。
「エド……。そんな言葉は決して言ってはなりません」
そう言った神父の声は、いつもの通り穏やかでありながら、揺るがない強さが込められていた。
「神父様……」
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