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あるところに、一人の貴族の青年がいました。
彼は、家が裕福であるのをいい事に、好き放題の暮らしをしていました。
親が彼の将来のために通わせてくれた学校は、さぼってばかりで、朝から晩まで街を遊び歩きました。
家のお金を持ち出しては、賭け事に費やし、若い娘たちとお酒を飲み歩く毎日。
ところが、ある日。
そんなろくでもない息子を見兼ねて、貴族の父親は、とうとう彼を勘当し、家から追い出してしまいます。
今まで親のお金で好き放題に遊び暮らしていた青年は、途端に一文なしになり、街をあてもなくさ迷いました。
食べる物もお金もなく、空腹に目が霞み、青年は道ばたに倒れます。
その時。
午後の柔らかな光の中、彼に、白い手が差し延べられました。
「どうぞ、これを」
パンを差し出したのは、青年と同じくらいの年の少女。
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