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名前を「マリア」と言いました。
波打つ金髪に、澄んだ青い瞳をした、気立ての良さそうな娘でした。
「お困りのようですね。よろしければ、うちにいらしてください」
マリアを見上げる青年に、彼女はにっこりと微笑んで言いました。
それから、青年は、少女の家で暮らす事になりました。
少女はすでに両親を亡くしており、一人細々と生活していました。
ところが、今まで楽ばかりして働いた事のない青年は、自分は病気だと嘘をつき、働きません。優しいマリアは、その嘘を信じて、二人の生活のために、今まで以上に働かなくてはなりませんでした。
一生懸命働くマリアを何とも思わない青年は、彼女が働きに出ていくと、ぶらぶらと街に出かけました。
そして、マリアの稼いできたお金を賭け事やお酒に使ってしまいます。
そんな事も知らないマリアは、一日中働いて、帰って来ては、青年に温かいス―プやパンを食べさせました。
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