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どんなに疲れていても、聖母のような眼差しで、青年に優しく微笑みかけながら……。
そんな毎日を過ごす中で、青年は不思議な気持ちを感じ始めていました。
以前のように遊び回っても、どこか心が虚しく、何をやっても上の空。
青年は、それがなぜなのか分からないまま、相変わらず毎日遊び歩きました。
そんなある日のこと。
いつものように、仕事から帰って来たマリアは、青年の目の前で、突然、倒れてしまいます。
驚いて駆け寄った青年の腕の中で、マリアは小さく言いました。
「ごめんなさい、ロイ。私、少し疲れたみたい……」
力無くマリアは微笑みました。
よく見ると、最初に出会った頃よりも、彼女の体は痩せて細くなっていました。
その瞬間、青年は気付いたのです。
本当に自分が欲しかったものが何であるのかを……。
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