第三章

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由依埜の瞳に込みあげてくるものがあり、それがつぅっ頬を伝った。 口々にみんなが慰める。 「な、泣くなよぅ。由依埜ぅ……」 「ふ、ふんっ。鬼の目にも涙ですねっ」 周二がすまなそうに言う。 「……つらい思いをさせてゴメンな。ユイちゃん。それでその十二月七日の夜、百代ちゃんと会う約束をしていたのが秋継和也らしいんだ」 由依埜は言った。 「……だいじょうぶ。シュウちゃん。それに由依埜、ほんとうは知っていたんです。その日にモモちゃんと秋継くんが会う約束していたこと。まさか、こんなことになるなんておもっていなかったけど」 「これ……」と言って由依埜が一枚の紙切れを取り出した。 そこには汚い字でこう書かれてあった。 由依埜が読みあげる。
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