第三章

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由依埜が泣き崩れるようにしてさくやさんの肩にしがみつく。 周二が言う。 「すごい……。百代ちゃんの幽霊がさくやさんに憑依してるんだ」 「モモちゃん!モモちゃんだ!あああん……!会いたかった。会いたかったよう……!」 さくやさんの姿をした野川百代が由依埜の肩を抱き返す。 「ありがとう。由依埜。あたしも会いたかったよ」 吾郎はそれを見て思った。 母親や姉のいない由依埜にとって、野尻百代の存在はどれほど大きく偉大であったろう。 そして、それを突然奪われた衝撃と喪失感はどれほど計り知れなかったろう。 改めて由依埜の魂と由依埜と自分が失ったものの大きさを噛み締めてくちびるを噛む吾郎であった。
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