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4章
むらさきの夕陽が沈む。
吾郎はコンビニの買い物袋をぶら下げてとぼとぼと三丁目の曲がり角を曲がった。
ちゃとらのノラネコが一匹、前を横切った。
するとそこをやはり黒い服を着たさくやさんが通り過ぎた。
「あ。さくやさんだ」
吾郎は手を振った。
さくやさんも吾郎に気づいた。
そのとき秋の夜のような色の普通車が一台通り過ぎちゃとらのノラネコを跳ね飛ばす。
吾郎が笛のような悲鳴をあげる。
普通車が通り過ぎると吾郎がちゃとらのネコに駆け寄る。
さくやさんも心配そうに近寄ってきた。
ネコは血だらけで弱々しく横たわっている。
「にゃんこ……。可哀想に」
吾郎が言う。
そして、吾郎がネコを抱きしめる。
そこへ、少女がふたり通り過ぎ、吾郎に残酷な視線を向ける。
「げろげろ。汚ーい。」
「やだー」
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