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第二章
三上由依埜が親友の野川百代とはじめて出会ったのは、降る雨の匂いが残る冬の朝だった。
由依埜はその頃小3で九歳でつまりは幼い子どもに過ぎなかったのだ。
由依埜はその朝、日直で遅刻しないようにころばないようにあさもやの中を走る。
商店街のレンタルビデオ屋のある一角を突っ切り、公園を抜け、学校へと向かう。
学校に着くと誰にともなく合掌し、子ども特有の優しくて残酷な微笑を浮かべる。
今日は由依埜のクラスの担任の津留崎(つるさき)先生の葬式なのだ。
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