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母親の葬儀が終わるころには、すっかり高校では文化祭の準備モードになっていた。
親父が思いのほか、使い物にならなくて、柊翔の親父さんに色々と世話になってしまって、申し訳なかった。
"気にしなくていい"と言われたけど、やっぱり、そういうわけにもいかず。
親父から金を出させて、菓子折り持って挨拶に行った。本来は、親父がやるべきだろうと思うけど、母親が死んだことが、こんなにショックになったとは。
「……要くんは、大丈夫かい?」
日曜日の午後、俺は一人で柊翔の家に来ていた。柊翔の親父さんが心配そうに俺に声をかけてくれる。
「はい。親父が、あんなんなんで、俺がしっかりしないと、と思ったら、なんとかなりました。」
「そうか……」
「要くん、今日はお父さんは?」
おばさんが、コーヒーと俺が持ってきたクッキーを出しながら、聞いてきた。
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