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「……あの家にいられないみたいで……今日もどこかに出かけてるみたいです……」
俺にしてみれば、今までの生活と変わりはない。苦笑いしながら、クッキーをつまんだ。
おじさんとおばさんは、そんな俺を気の毒そうに見つめてる。そんな顔をさせてしまうことに、俺の方が少しばかり申し訳ない気持ちになる。
「要」
自分の部屋から出てきた柊翔が、チョイチョイと手招きをする。
「はい」
おじさんたちに、"ご馳走様でした"と言って、柊翔のそばに行く。柊翔は俺の腕をとると、自分の部屋に引っ張り込んだ。
「な、なんですかっ!?」
ドアを閉めたと同時に、驚いて声をあげた俺のことをギュッと抱きしめた。
「し、柊翔?」
「……」
「どうかしましたか?」
「……お前、我慢してないか?」
柊翔の口から出た言葉が、ジワリと俺の身体に浸みこんでくる。
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