2.恋しくて、恋しくて

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柊翔は難しそうな顔をして、俺の顔を見続ける。 「と、とりあえずは、卒業することだけ考えます。それと・・・バイト始めようかなって・・・」 「生活費はなんとかしてもらえるだろ。あんだけ言えば。」 「でも・・・」 「たぶん、宇野さんが、なんとかしてくれるだろうし。」 「・・・俺、ほんと、自分じゃ何もできないんですね・・・」 俺が、まだ子供だから。 自分の力で、一人で、生きていくこともできない。 「・・・大人になったら、返せばいいさ。」 「・・・・」 「だから、返せるような大人にならないとな。」 俺の頭を撫でると、優しくキスをする。 見つめる瞳の中には、また泣きそうになっている俺が映る。 柊翔に抱きしめられながら、俺は母のことを思い出す。 病院で入院してた時、一人で苦しい時間を過ごした時、母はどんなにあの男を想っていたことだろう。 寂しい時に、誰かがそばにいてくれる、それだけでも安心できるのに。 あの男を、どんなに恋しく思っていただろう。 母が亡くなったのは、病気のせいだけではなく、恋しくて、恋しくて、その想いが魂すらも削ってしまったんじゃないか、そんな気がしてならなかった。
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