914人が本棚に入れています
本棚に追加
柊翔のことを考えて、わざわざ帰って来たのに、俺の心配を気にすることなく、アパートまでやってこようとする。
そりゃ、嬉しい。
嬉しいけど、俺の心配してる気持ちとか、どうなるの?
俺は、悶々としながら、気が付けば駅のほうに向かってた。
実際、うちの近所には、元旦の、もう日が落ちてる時間にやってるスーパーはなくて、駅前のほうまでいけばあるかな、なんて、頭の中をよぎってたのは事実。
残念ながら、こっち側では見つけられなかったから、駅の反対側まで足をのばした。
「・・・おじいちゃんと、おばあちゃん、ずいぶんたくさんお土産くれたわね」
楽しそうな女の人の声が、聞こえてきた。
子供にでも語り掛けているようすから、帰省からの帰りなんだろうな。
少し、羨ましいと、思ったら。
「帰ったら、開けような。」
・・・っ!?
・・・最低だ。
正月早々。
親父の声を聞くなんて。
最初のコメントを投稿しよう!