915人が本棚に入れています
本棚に追加
ついつい反射的に、振り向いてしまった。
視線の先には、親父が、また、あの子供に優しく微笑んでいる姿。
・・・正月にどっちの実家にも帰ったことなんて、ここ最近なかったのに。
家族の風景を見せつけられて、固まってしまっている俺に、気づきもせず、親父たちは去っていく。
その姿を見送ることしかできない。
コートの中のスマホが揺れた。
無意識にスマホをとりだした。
柊翔の"どこにいる?"とのメッセージに、プツリと、何かが切れた気がした。
ふらふらと、駅前のバス停にあるベンチに座り込む。
そのまま、柊翔に電話をかけた。
『・・・どうした?』
少し、息をきらしたような声。
歩きながら話してるのかな。
『・・・どこ?』
「・・・東口のバス停」
最初のコメントを投稿しよう!