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「す、すみませんっ。要のお母さんの容体が急変したって、連絡があって、もう、あいつは病院に向かったんですけど、一応、先輩にも伝えたほうがいいかもって思って」
ヤスくんの話の途中から、荷物を鞄に詰め込み始めた。
「潤、悪い。俺、早退するわ。先生には、うまいこと言っといて。ヤスくん、サンキュ」
二人からの返事を待たずに、俺は慌ただしく学校を飛び出した。駅までは、信号につかまることもなく、猛ダッシュで走り抜け、タイミングよく来た電車に乗り込んだ。
息をきらしながら、鞄の中に入れておいたスマホをとりだしたが、要からの連絡はなし。
俺に連絡する余裕もないか。
それに気づくことで、逆に、俺の方が冷静になってくる。
『これから病院に向かうから』
そうメッセージを送ってから、目を閉じて、大きくため息をつく。
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