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ただポロポロと涙を流していた要が、おばさんが旅立ったと同時に、身体が壊れるんじゃないかというくらい声をあげて号泣した。
そんな要に、俺ができるのは、ただ抱きしめてやるだけ。それは、本当はおじさんがやるべきことなんじゃないか。おばさんの側にいるべきなんじゃないか。
俺は、怒りでおかしくなりそうだった。
要がようやく落ち着いた頃、うちの母親が到着した。おばさんと、うち母親は社宅に入居した当時から仲良くしていただけに、病室に着いたとたん、要に負けないくらいに、号泣した。
要は、そんな母親を見て、逆に涙がひっこんだらしく、母親の背中を優しくなでていた。しばらくすると、今度は親父が病室に現れた。
「親父……」
俺は、親父の腕をとると、病室から出てほど近いところにある休憩室に向かった。
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