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私は、彼のことを、ここへ来る前から知っていた。
初めて、彼を見掛けたのは、寒い寒い冬の夜。
X'masっていうお祭りの夜。どこの家にも、赤とか青にキラキラ光る物が着いた木があって、美味しそうなご馳走を楽しげに、食べていた。
私は、そんな楽しい夜に、何故だか、一人ぼっちで、公園のブランコに乗っている彼を見つけた。
そおっと側によっていくと、彼が、泣いているのだとわかった。手には、小さな箱。
じっと見ていたら、彼が、気付いたの。
「…見るなよ。…格好悪いだろ。…大の男が泣いてるなんて。」
泣いてるから、気になるんだよ。だって、今日はみんな嬉しそうな顔してるのに、あなたは、この世の終わりみたいな、悲壮感たっぷりの涙を流しているんですもの。
「…慰めてくれんのか。…優しいなお前。」
そう言って、彼は、頭を優しく撫でてくれたんだ。
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