5、初メテ

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さっき買った生鮮品を冷蔵庫にしまい、冷やしていた水出し紅茶を取り出してグラスに注ぐ。 まだ私の部屋のソファーで寛いでくれる悠馬が見えて、嬉しく思ってる。 「―…アイスティーどうぞ」 「ありがとう」 「それも台本?」 グラスをテーブルに置くと、悠馬がまた本を手にして眺めていた。 でも直ぐに、 「それ……」 悠馬が今手にしている本は私が読みかけている小説だ、って気付く。 三島由紀夫の全四巻から成る長編小説、豊饒の海の第一巻。 春の雪。
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