6、瞳

1/15
前へ
/38ページ
次へ

6、瞳

「椎原先生、せっかくだから一緒に夕食でも食べて帰りません?」 「今から……ですか……?」 「ええ。美味しいイタリアンのお店があるんです。私もうお腹がペコペコで。ね?行きましょう」 翌日、放課後の職員会議が終わると岬先生に食事に誘われてしまった。 男女の飲み会の誘いを昨日断ったばかりだったから、 「あ、はい……」 食事だけなら、そう思って誘いを受けた。 仕事帰りに職場の人と寄り道なんて私には滅多にないことだけど、岬先生と二人で食事をするだけなら行ってみよう。そう思った。 のに、 「―…っ」 店に入り、案内された席には男性が二人。 既に座っていて、彼等と向かい合う二つの席は空席。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

66人が本棚に入れています
本棚に追加