66人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、図星?というか、実の事を言うと、この間アンタが騙した〝カノジョ”俺の知り合いなんだよね。結婚ちらつかされて騙し取られたって」
「適当な嘘をつくな。いい加減に―…」
「なんなら、ここに呼び出してもいいよ?」
「く……っ……」
久保さんの表情が確かに、険しく歪むのを見た。
「久保さ……」
「ごめん―…繭子、今日はゆっくり話せそうもないから、また連絡するよ」
私には穏やかな表情を見せてくれるものの、瞳の奥はそうじゃない。
「オジサン、やっぱり逃げるんだ?」
「煩い……どけ……っ!」
久保さんは席を立ち、突然入ってきた彼を睨むようにしてカフェを出て行った。
最初のコメントを投稿しよう!