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「嘘だよ。
……教師が生徒に本気、とか」
自分に言い聞かせるようにそう呟いた先生の顔はなぜか傷ついてるようで、私の胸を締め付ける。
「……本気にしてくれないんですか」
「当たり前でしょ、教師と生徒なんだから」
「じゃあ、教師と生徒じゃなかったら」
「教師と生徒じゃなかったら、出会ってない」
「立場を云い訳に使わないでください。
私は本城先生の本当の気持ちが知りたいです。
だって私は、先生のことが本気で好きだから」
今度は私が先生の目を真剣に見つめると、それまで浮かべてた嘘くさい笑顔が消えた。
「きっと後悔するよ」
「しません、絶対に。
先生はするんですか」
「きっと、つらいことや苦しいことばかりだよ」
「望むところです」
「きっと、たくさん泣かせるよ」
「かまいません」
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