サーモントブロー

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そっと頬にふれられた手に、心臓の音がこれでもかってくらい早くなる。 ゆっくりと頬を撫でると、 「好きだよ、詩乃」 耳元でそう呟いて、先生が身体を離した。 初めて名前で呼ばれて……私はとうとう、オーバーヒートした。 ……それから。 隠れてこそこそと、本城先生と付き合ってる。 付き合ってるっていっても、毎日生物準備室で会って、話すだけ。 それで満足かっていわれればあれだけど。 ……でも。 わがまま云って、先生を苦しめたくない。 「よく僕が、チーズケーキが好きだって知ってたね」 「先生、前に云ってたから」 「そうだっけ?」 不思議そうに先生の首が傾く。
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