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……云ってたよ。
先生の云ったこと、私、全部覚えてるもん。
「おいしそうだね」
カップを手に、先生が座る。
紙皿の上には別で用意してきたソースをかけた、チーズケーキ。
「詩乃が作ったの?」
「はい。
お口に合うといいんですけど」
「大丈夫だよ。
詩乃が作ったんだったら、僕の口の方をあわせるから」
先生の手がフォークを掴み、チーズケーキを一口。
……甘さ控えめにして、ラズベリーソースでさっぱりするようにしたから、大丈夫だとは思うんだけど。
「……うん。おいしい」
にっこりと笑われて、頬が熱くなった。
黙ってフォークを掴み、私もチーズケーキを口に運ぶ。
先生は嬉しそうに食べてる。
ほわほわと揺れてる、茶色い髪。
ブラウンデミの、サーモントブローの眼鏡。
その奥の、私を見つめる少し垂れた目はいつだって優しい。
「詩乃。
ソース付いてるよ」
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