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※
おっちゃん、助けてくれ。
彼女の考えていることが全く分からない。
防具屋を出た後、俺は内心でおっちゃんに助けを求めた。
彼女が俺に買ってくれたコスチューム。
白羽付きの貴族帽子に、白いマント、上半身だけミスリルの鎧、下がカボチャパンツで、履き物がアヒルのスリッパ。
「あとは、これをこうして、最後に腰に双剣のズッキーニを装備してと。
ーーはい、出来あがり」
……。
満面の笑みで彼女が俺に言う。
「これで私たち、フレッシュで弾けた恋人同士だね」
……。
フレッシュって何だろう。
恋人ってなんだろう。
いじめられてるのか? 俺。
ってか、双剣ってなんだよ? ただのズッキーニだろ、これ。
俺は装備された二本のズッキーニを外そうとした。
「あーん、ダメ! とらないで。せっかくの私の恋人理想像がーー」
合成獣(キメラ)か? 俺は。全身のコーディネートがぐだぐだじゃねぇか。
「あーん、やめて。とらないで」
……。
脱ごうとするも、彼女が全力で俺を抱きしめて引き止めてくる。
しかも残念なことに、その時の彼女の膨らみある胸の感触が、上半身の鎧によって阻まれる。
何もかもが俺にとって生殺しの防具だった。
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