第4話 狙われた彼女

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 街中に、彼女の悲鳴が響き渡る。 「きゃー! 誰か助けて!」 「へへへ、こっちこいよ姉ちゃん」 「可愛がってやるぜ、ひひひ」 「大人しくその荷物をこっちに渡しな。そしてお前も一緒に来るんだ。ぐへへ」  彼女に絡む三人の雑魚(チンピラ)ども。  今まさに連れさらわれようとしていた。  俺は叫んだ。  待て! 彼女を離すんだ!  チンピラどもが俺を見る。 「だ、誰だ!? てめぇ!」 「何者だ!?」 「なんなんだ、お前!」  俺か?  俺は自分に親指を向け、ニヤリと笑った。  ーー俺は【双剣使いのズッキーニ】。ただの傭兵であり、変態貴公子だ。  チンピラどもが笑う。 「へへ、粋がりやがって。お前の足元のアヒルが笑ってんぞ」 「弱そうな奴だ」 「家に帰って母ちゃんのおっぱいでも吸ってな、坊主。俺たちの邪魔するとぶち殺すぞ」  ぶち殺されるのはお前らの方だ。俺に喧嘩を売ったことを後悔するがいい。  どかっ!  バギッ!  どふッッ!! 「うう……」 「ぐぇ……痛ぇよ……」 「ちくしょう。覚えていやがれ!」  チンピラどもは俺の前からおめおめと逃げ出していった。  彼女が旅行ケースを片手に駆け寄ってくる。 「素敵。ありがとう、双剣使いのズッキーニ。  あなたは私の恩人よ。私と結婚して」  旅行ケースが無事で良かった。  キミのおかげだよ。 「ふふふ」  あはは。  ーーこうして。  街の平和は変態貴公子傭兵ズッキーニの手により守られた。  だがまたチンピラどもが彼女と旅行ケースを狙ってくるだろう。  戦え、変態貴公子傭兵ズッキーニ。  未来の平和はお前の手にかかっている。 【終わり】  
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