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誰が【変態貴公子ズッキーニ】だ! ふざけんなッ!
『【変態貴公子傭兵ズッキーニ】だ。間違うな』
どーでもいいだろ、そんなこと! ってか、なんなんだよそれ!
『まぁ、さっきお前が起こした騒動を要約して説明するならそんなとこだろ』
脚色し過ぎじゃねぇかッ!! しかも全部彼女の思い出補正かかってんだろ、これ!
『一つだけ補正されてなかったところがあっただろ。
ーーほら、あれだ。
旅行ケースが無事で良かったってとこ。最低だよな、お前』
あれはおっちゃんが俺を脅したからだろ! 旅行ケースが奪われた時点で彼女が黒幕に消されるとか何とか!
俺だってクトゥルク制御しながら大変だったんだからな!
『ふーん。で、最後に旅行ケースを心配する言葉がポロッと出たってか? すかしっ屁した時みたいな言い訳だな。これで彼女に俺たちの本当の目的がバレたわけだ』
まだバレたと決まったわけじゃない。
『クトゥルクを使わなかったことだけは褒めてやろう。だが、あのチンピラどもーー』
正確にはアイツ等はただのチンピラじゃない。ちゃんとした訓練を受けた兵士だった。
『お前がただの傭兵じゃないことは奴らも察しただろう。咄嗟だったとはいえ、暗殺技が出てしまったからな』
分かってる。でもこれからどうしよう、おっちゃん。
『ログアウトさせてやりたいとこだが、次にお前がログインしてくるまで彼女は無防備だ。彼女を守れるのは俺たちしかいない』
おっちゃんが誰かの体を乗っ取って、彼女を守ることは出来るはずだろう?
『彼女はお前以外を警戒している。お前だけが彼女の恋人として傍に居てやれるんだ』
……。分かった。
『他に質問は?』
ない。たとえ質問があったとしてもーー
『答えない』
言うと思った。
『俺の話は以上だ。早く彼女のところへ戻ってやれ』
うん……分かった。
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