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軽食屋のテーブル席で。
彼女は珈琲らしき飲み物を口にしながら、俺が戻ってくるのを待っていた。
戻った俺は彼女の向かいの席に腰を下ろす。
彼女がぽつりと言ってくる。
「トイレから出てくるの、ずいぶん遅かったね。もしかしてーー」
大じゃない。
「尿管結石?」
なんでだよ。普通だよ。ってか聞くなよ、そんなこと。
「私のお気に入りのコスチューム、着替えたんだね。すごくあなたに似合ってたのに」
どこが? 服屋の接客マニュアルみたいなこと言うなよ。
「ううん、あなたにすごく似合ってた。あなたは恋人として、とてもフレッシュで、そして……。私のことを助けてくれたヒーローだった」
ただの偶然だよ、あんなん。
なんか俺だっせぇー。ヒーローとかどこの目立ちたがり屋だよ、ほんと。
「すごくかっこよかった。今度からあなたのこと、【ズッキーニ】って名前で呼んでいい?」
元々からそんな名前じゃねぇよ。ってか、なんの嫌がらせだよ、それ。
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