第4話 狙われた彼女

5/16
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/98ページ
 ※  軽食屋のテーブル席で。  彼女は珈琲らしき飲み物を口にしながら、俺が戻ってくるのを待っていた。  戻った俺は彼女の向かいの席に腰を下ろす。  彼女がぽつりと言ってくる。 「トイレから出てくるの、ずいぶん遅かったね。もしかしてーー」  大じゃない。 「尿管結石?」  なんでだよ。普通だよ。ってか聞くなよ、そんなこと。 「私のお気に入りのコスチューム、着替えたんだね。すごくあなたに似合ってたのに」  どこが? 服屋の接客マニュアルみたいなこと言うなよ。 「ううん、あなたにすごく似合ってた。あなたは恋人として、とてもフレッシュで、そして……。私のことを助けてくれたヒーローだった」  ただの偶然だよ、あんなん。  なんか俺だっせぇー。ヒーローとかどこの目立ちたがり屋だよ、ほんと。 「すごくかっこよかった。今度からあなたのこと、【ズッキーニ】って名前で呼んでいい?」  元々からそんな名前じゃねぇよ。ってか、なんの嫌がらせだよ、それ。
/98ページ

最初のコメントを投稿しよう!